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改修スタート時は、木部の改修と外壁塗装の予定だったが、足場をかけなければできない工事はこの際是非やろうという一大決心をした。そのため大工2人とマルチプレイヤー1人(計6万円/日)に任せてばかりでは、お金がどんどん出て行ってしまう。いつもの仕事のように、設計してあとは現場監理だけというスタイルではフトコロが痛い。なので、設計して、現場チェックして、指示して。それ以外に私でも参戦できることには積極的に現場にはいることにした。職人としてである。

●2010年7月21日(水)

屋上菜園として、あるいは厚い断熱層として14年間活躍してきた屋上の開腹が始まる。3階の天井は構造用合板があらわしのままとしていた。それは、構造躯体に異常が発生したときに目視確認できるようにである。新築時から14年間で大きな変化はなかった。しかし、大雨の後、合板にかすかなシミができるようになっていた。そのシミはすぐに広がるわけではなく、気がつくとほんの少しだけ大きくなったかな...という程度だった。また、最近ではよく言えばビオトープ、悪く言えばほったらかしの荒れ放題。そんな屋上菜園にくろありが大量にいることも気になっていた。たまに3階リビングにも行列ができることがあった。その彼らは躯体にどんな悪さをしているのか見たかったのだ。

まずは笠木板金をはずし、パラペットの立ち上がり部から開腹した。木部は意外ときれいなままで損傷は見られなかった。写真中央部の少し黒くなっている間柱はくろありの通り道だった。通り道はただの通り道のようで木部に悪さはしていなかった。

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たまに植物が笠木の間から入り込んでいる痕跡も見られるが、少しだけ入ったところで枯れてしまっていた。水と光が全くないために枯れてしまうようだ。

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●2010年7月22日(木)

外壁のケイカル板仮止めがあらかた終わり、私はビス打ち隊として参戦する。75mmのSUSビスを全部で4000本打つのだ。フレキ頭のビスは下穴を開けなくても頭が確実に食い込んでケイカル板と下地を確実に緊結してくれる。@150(150ピッチ)で確実に緊結してゆく。大工ズとマルチプレイヤーには他の仕事をしてもらう。自分で納得いくまで構造躯体に緊結してゆく。やってもやっても終わらない。7/24から左官屋さん部隊がジョイントV(日丸産業)の作業に入ることになっている。丸二日ビス打ちに明け暮れる。

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●2010年7月24日(土)

ジョイントVは私が東京ドームの店舗で使って以来時折使ってきた。25年ほど前、東京ドームの店舗で、巾20M高さ7Mほどのモルタル曲面をデザインした。その当時の施工は竹中工務店。その担当者が、モルタルでは確実に割れるのでモルタルに代わる割れない素材としてジョイントVを提案してきたのだ。それ以来、割れて欲しくないときにはその素材を使ってきた。しかし、あまりメジャーな素材ではないので左官屋さんが慣れていないことが多い。そのためメーカーの日丸産業には左官部隊へ施工指導をいつもお願いしていた。応援を頼むと旧知の担当者は、本社の熊本にいた。なので東京事務所の担当者にお願いすることに。しかし、当日やってきたのは熊本にいるはずの溝口さんだった。久しぶりに会う。こんな時に飛んできてくれる素材メーカーはないだろう。大切にしたい人間関係だ。建築はそんな人間たちが造ってゆく。

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●2010年7月25日(日)

左官部隊の乗り込みが次週にずれ込んだ。これ幸いとケイカル板の小口に変成シリコンを打つ。水切り上のケイカル板の小口から水が吸い揚げられるとケイカル板の劣化が早いのだ。せっせとシールへらでシリコンを打つ。シール屋さんを呼べばさくっときれいに終わるだろうが、私ができるところは自分でやる。経費節減なのだ。

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●2010年7月27日(火)

屋上のFRP防水の解体があらかた終わる。防水下地は無機質系素材のダイライト。さすがに全く劣化していなかった。これが有機質系の素材(合板など)だったら劣化が進んでいただろう。がっちり接合しているFRP防水とダイライトは14年前の施工当時と変わらぬ姿のまま、もったいないが産廃処分場へ行く。

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●2010年7月29日(木)

屋上は片ながれの屋根をかける予定。屋根に入れる断熱材を一日かけてカットする。とにかくここのところ暑い。タープをかけて日陰を造り終日断熱材カット。8坪分二重張りの断熱材のカットには丸一日かかった。カット済みの断熱材は価格が多少高い。その価格アップを惜しんで大判で発注すると職人さん一人で丸一日。原価で約2万円。今回は私がやったので経費は削減できたが、普通の現場ではカット済みを使う方がコストを抑えることができるだろう。

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●2010年7月31日(土)

防水層をはずした一部にくろありの巣のようなものを発見。ありの道はどうやっても見つけることができなかったが一部だけに巣のようなものがあった。不思議だが、この上にはカナディアンカヌーが置かれていて、土出しの時そのカヌーの中にくろありの大きな巣があった。まさか、FRP防水を突き破ってその真下に巣を作ったとは考えられない。FRP防水にそのような損傷は見られなかった。しかし、そのカヌーの中の巣とFRP防水下の巣がどのように連絡していたのかわからないままだった。この巣の木部はアリが持ち込んだと見られる水分で木部が黒ずみ多少劣化していただけだった。この部位はFRP防水の水勾配をとるための下地であり、構造躯体ではない。この程度の損傷では、躯体に全く影響ないが気持ちの良いものではない。今回発見できて良かった部分だ。しかし、写真でわかるように断熱材と水勾配用の根太天端に通気層をとっていた。外壁の通気層で空気が動くと床下通気層の空気も動くように設計していた。くろありの巣があった部分以外はその通気層がしっかりと仕事をしていたようで、下地としては新築時の状態を保っていた。屋上やベランダはしっかりと通気層をとるのが肝心なのを再確認。仮に多少の水が入り込んでも乾燥してしまう。そして蒸れることもない。

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●2010年8月1日(日)

屋上排水用の溝にも一部木部の劣化が見られた。写真手前左側から右上に向かって排水勾配がとられていた。ここの排水溝部分は通気がうまくいっていないのと、水勾配をFRP防水でとっていなかった。ほぼフラットな状態の溝の上に、モルタルで水勾配がとられていた。そのモルタルの下に回った水はなかなか抜けにくい構造だったのである。その構造に加えて、FRP防水に若干のピンホールがあったのだろう。写真でもわかるように約7Mの溝の一部だけに木部の損傷が見られたのだ。この下は3階天井の構造用合板。私が大雨の後、少しずつ大きくなっているように感じていたシミが見える部分だった。雨が降るとどこかしらから水が回って、構造に悪さをしているのではないかと感じていた部位である。その理由は、植物なのか、漏水なのか、他の理由なのか。とにかく一番見てみたかった部分だった。この劣化した部分を自分で撤去し目視すると、ほんの少しだけしみ込んだ水の痕跡があるだけで構造部の損傷はなかった。屋上は、くろありの巣とこの溝の一部の損傷だけで、他はまったく異常なし。しっかりと機能していて解体するのにかなり大変な思いをしただけですんだのだ。

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