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築14年目の自邸改修の記録である。
設計当時は、シックハウス(化学物質過敏症)や外壁通気工法などが一般化していなかった。いたずらに木造の外断熱工法などが一人歩きし始めた時代だ。
なかでも、外壁通気工法、木造による屋上の床下通気の効果を信じて設計した。
自邸は、3階建てと2階建ての2棟を2階でつないだH型のデザインとなっている。
3階建ての棟は外壁通気工法を採用し、2階建ての棟はあえて通気工法とはしなかった。
経年によるその違いを体得したかったからだ。あえて、実験のためにやってみた。
また、どちらの棟も屋上に床下通気層を持った屋上緑化の屋根が乗っている。
その様子も是非確認したかった。


▼通気工法ではない外壁の最下部をあけてみる。水切り板金に透湿防水シート(タイベック)と外壁(ダイライト)が密接しているために水切りに乗った雨水が毛細管現象で吸い上げられ木部にまで到達している。

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▼吸い上げられた水は木部に悪さをしている。透湿防水シートはくたびれて機能を果たしていない。通気工法であれば仮に水が入り込んだとしても、写真にあるように少量であれば乾燥していくと考えられる。

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▼柱の最下部が痛み始めている。この写真は水が上から来たのではなく下から吸い上げられていて腐朽しているのがわかる。これは、シロアリや害虫によるものではない。しかし、土台は体に悪くない防腐剤を加圧注入しているためほとんど腐朽していない。柱は内部露出の真壁としているため、やはり体への影響を考慮して、防腐剤を使用していない。そのため、土台は腐朽せず、その上の合板と柱が腐朽し始めていた。特筆すべきは、他の場所でも水が進入したところにある合板はことごとく腐朽していたことである。

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▼耐力が出なくなった部位を取り去り新しい材料に取り替える。虫歯の治療に似ている。交換する材料はすべてヒノキを採用。交換する前は、全体コストを抑えるためにツガを採用していた。自邸設計後から、私の設計では1階の土台にのる柱はすべてヒノキを採用している。それは、自邸設計直後に携わった築100年ほどの古民家再生の仕事でヒノキの古材に腐朽がほとんど見られなかったからだ。

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▼土台廻りは下からの水の吸い上げで腐朽していたため、2階の梁廻り、3階床の梁廻りを帯状に切り開きすべてをチェックすることにした。何らかの理由で水が回った形跡はあるものの腐朽に至っている部分はなく構造体は問題なかった。しかし、少量でも一度水が回ると抜け道がないこの工法はやはり躯体には良くない。透湿防水シート、外壁のダイライト、仕上げ左官材のホワイトVも湿気は外に逃がすが外部からの水は中入らないゴアテックスのような特徴があるとうたっているが乾燥に至るまでには時間がかかるだろう。また、それらの水が出ていく機能があるということは固定する釘やビスもステンレスを使うのが必須。写真にある鉄製の釘は錆が始まっており長い年月でいずれは固定機能が果たせなくなる時も来ると思われる。

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▼2階屋上にある物置小屋の足もとを切開してみる。仕上げから、左官材、ダイライト、寸法調整用の針葉樹合板、FRP防水。基礎は最低でも地面から40cm立ち上げ雨水の跳ね返りで土台が濡れないようにするのが定石。同じように屋上などの床面からの防水立ち上がりを最低でも40cm以上とすることが求められる。ちょうど写真では床から50cm程度のところにカッターを入れた。床から30cmほどのところまで水が廻り合板が腐朽している。その上の合板までは腐朽していない。FRP防水も60cm程度まで立ち上げているので、問題なかった。それにしても水が回りそうな部分に合板を使うのは考え物である。ダイライトは腐るものではないのでほとんど無傷なのが印象的である。

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▼その小屋出入り口の建具枠を交換。雨・夜露にさらされる場所の建具枠。くろありが出入りしているのは目視していた。くろありは直接木部を食べ尽くすわけではないと聞いていたが、彼らの仕業を確認できた。木部を土状にし強度を著しく下げていた。しかし、水が回らない部分までは食い尽くす気配がなく、水仕舞いをきちんとすればそうそう心配はないようだ。

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▼中間階の2階床梁も部分的に切開。通気工法としていないが、躯体は元気。ベランダ用に外から鉄製のユニクロメッキ性コーチボルトを打ち込んでいた部分に錆が発生している。やはり雨掛かりの可能性がある部位にはステンレスの部材を使いたい。

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壊してみてわかったが、やはり外壁の通気工法は大切だと実感した。14年前ほど前、一般の工務店はそんな工法は必要ないと言っていたところも多かった。採用した通気工法のある3階棟とあえて採用しなかった2階棟の外壁廻りの躯体の状態には歴然と差が出た。やってみて初めて経験値として知恵に刻まれるが、その代償は大きい。通気工法を採用しなかった2階の棟は、外壁の強化をするために通気層をもうけ、もう一枚外皮を造ることとした。

また、私の場合、外壁に構造耐力壁として合板を使用することはほとんどないが、やはりそれは間違っていなかったと確信。万が一、水が回ってしまった場合その腐朽が激しいのだ。経験上、シロアリやくろあり、ムカデなどが、その合板の繊維方向に木部を喰いながら入り込むことが多い。水が回らなければ問題ないが、それを絶対に防ぐことは不可能と考えた方がよい。その合板に構造的な機能の一部を負担させるのは大きな掛けになる。念入りに防水されたディテールや雨掛かりのない内部での構造的使用はあるだろうが、できるだけそれのみに頼ることはできるだけ避けたい。そのことを再確認できた。

暑い夏。築14年目の現場から目が離せない。



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